台風10号の影響で、8月下旬から長期間に渡って新幹線の運行に影響が発生しています。
新幹線の話題として、8月末のドクターイエローの検測が、通常東京~博多間で運転されるのが一般的ですが、東京~新大阪間のみ運転。
また、復路は台風の影響で東京まで完走できず、途中の浜松工場へ一時避難し、昨日無事に東京へ帰着できた模様です。
ドクターイエローはイベント列車ではなく、電気軌道総合試験車のため、線路や架線・信号設備を点検する目的で走行します。
そのため、運休や延期となれば、「点検ができない」または「点検が遅れる」ことを意味します。
それは新幹線の線路がmm単位で管理されているイメージからすると「大丈夫なの?」と疑問に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで、今回のブログはドクターイエローの走行間隔について、投稿したいと思います。

法令で定められている内容
今回関係する法令としては以下3つとなります。
①鉄道営業法 ②鉄道に関する技術上の基準を定める省令 ③施設及び車両の定期検査に関する告示
1900年(明治33年制定)
鉄道設備・鉄道運送(第1章)、鉄道係員(第2章)、旅客及び公衆(第3章)に関する規定や罰則等が記載
法律なので詳細な記載ではなく、抽象的に記載しているイメージ
法に具体的な点検間隔は記載されていない
法 第一条「鉄道ノ建設、車両器具ノ構造及運転ハ国土交通省令ヲ以テ定ムル規程ニ依ルヘシ」に該当
代表例として、”新幹線の線路軌間1,435mm”は本省令で規程
他にも電気設備や車両等に関する基準(数値)が定められており、全鉄道会社共通の基本ルール
省令に具体的な点検間隔は記載されていない
省令 第九十条
「施設及び車両の定期検査は、その種類、構造その他使用の状況に応じ、検査の周期、対象とする部位及び方法を定めて行わなければならない。」
「2前項の定期検査に関する事項は、国土交通大臣が告示で定めたときは、これに従って行わなければならない。」に該当
告示で初めて具体的な点検間隔が記載されており、第二条(線路の定期検査)の項目です。
新幹線鉄道の場合、軌道(本線の軌間、水準、高低、通り及び平面性に限る。)は二月を超えない毎に定期検査を行わなければならないと記載されております。
そのため、法令上「2ケ月に1回」は最低限ドクターイエローは走行しなければなりません。
出典:国土交通省ウェブサイト ( https://www.mlit.go.jp/tetudo/tetudo_fr7_000036.html )
これまでのドクターイエローの走行間隔
私は約15年前からドクターイエローを撮影しておりますが、走行日の予想は大体インターネット等で情報収集しました。
ドクターイエローの走行パターンと走行間隔は、私の経験上は以下の感じです。
- のぞみ検測(主要駅のみ停車):月に2~3回
- こだま検測(各駅停車):2ヶ月に1回
そのため、法令上で定める「2ヶ月に1回」を遥かに超える頻度で検測を実施していることになります。
ドクターイエローの検測中止・延期は”問題なし”
以上を踏まえると、ドクターイエローの検測中止が発生した場合、多少の延期であれば全く問題ございません。
ドクターイエロー以外にも東北新幹線などを検測する「East i」や九州新幹線の検測用営業列車(800系)が存在しますが、走行間隔は私自身把握しておりません。
基本となる法令は同一ですが、各鉄道会社の考えや線路構造(バラスト軌道orスラブ軌道)を考慮して走行間隔を決定していると思われるため、若干差異はあるかと思います。
新幹線の安全性・快適性を支えている裏側を少しご紹介いたしました。

ブログをご覧いただき、ありがとうございました。
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